先日、群馬県中学校総合体育大会が行われました。テニス部として上を目指し、やっと手にした初めての県総体のキップ。桐生市みどり市の代表として出場する、と考えただけでも力が入る僕に、更なる緊張が走りました。それは、開会式で着るユニフォームを手にしたからです。そのユニフォームは、桐生みどり市が、僕達のためにと考えてくれ、帽子、Tシャツ、ハーフパンツ、靴下と、四点ものセットが税でまかなわれ、僕達の背中を押してくれるものとなったのです。
　今まで僕は、税について色々勉強してきました。税金はどうして払わなくてはいけないのか、払った税金は何に使われているのか、税について知れば知るほど、税の大切さを実感し、税があるから僕達は安心して生活が出来ているという事を感じていました。ですが今回ほど、税が自分のために使われているのだと感じたのは初めてでした。おかしなものです。今僕が学校で勉強できている事だって税金のおかげなのに、身にしみて実感できたものがユニフォームだったのです。学校へ行ける事が当り前、警察官がいてくれる事が当り前、一一九番すれば救急車が来てくれる事が当り前になっている世の中で、僕は税金が自分のために使われているという意識が薄れていたのです。
　以前、税について勉強していた時、「警察官の消えた町」という話を目にした事がありました。アメリカ合衆国のカリフォルニア州の町で、「税金は安いほうがいい」という事で、税金を安くする法律ができたそうです。もちろん税金が足りなくなり、公共サービスが提供できなくなり、高速道路はガタガタ、病院や市民ホールまで閉鎖、頼りになる警察官や消防士までもがいなくなってしまいました。僕は考えただけでも、そんな町は恐ろしいと思いました。その町は、「警察官がいない町は困る」と、税金は安いほうがいいという法律は廃止されたそうです。当り前だと僕は思いました。しかし、この話を知った時、他人事ではないと感じました。日本は税金が安くなるという法律は絶対にできないと思いますが、税の大切さの意識が、薄れていってるのではないかと心配になりました。僕もそうですが、当り前になってしまっているのです。だから、桐生市が税金でユニフォームを用意してくださったと知って、感動のような実感があったのだと思います。
　増税という言葉を耳にします。確かに税金が高くなると大変だと思います。しかし、税は僕達が安心して、安全に暮らせるために必要なものです。税金は何のために、どう使われているかなど、誰もがいつでも目にする所に表示するなど、税についての意識が薄れていかないようにする事も大切なのではないかと考えました。