「えっ、そんなに…？！」数年前、私は一人で買い物をすることを楽しみにしていた。お店でいくつかの商品をかごに入れて、レジで会計を待っていた私は、金額を聞いて、思わず声を出しそうになった。８％の消費税がかかることはわかっていたが、何点か買い物をする内に、思ったよりも高い金額になり、あやうくお金が足らなくなるところだった。「消費税ってずいぶんかかるなぁ」と不満な気持ちを感じてしまった。
　その後、税金の大切さを私達は何度か学習してきている。私達の納めた税金は私達の身のまわりで多くのものに形を変えて、私達の生活を支えてくれている。私が小さい頃から過ごしてきた保育園や学校も、納められた税金に助けられている。小学生の時、校舎を建てかえて、新校舎が建った。大きな工事だったが、新校舎にはじめて入った時のわくわくした感じが忘れられない。快適な空間で卒業を迎えられたことは本当にありがたかった。また、私は六年間放課後を学童クラブで過ごしてきた。学童クラブにも月謝はあるが、その運営にはとてもお金がかかり、市からかなりの補助金がでているそうだ。あたり前のように楽しく過ごせたのも、税金のおかげだと母から聞いて、びっくりしたのをよく覚えている。
　たとえば、今は元気な私たちが、いつかけがをしたり病気になったりすることもある。そんな時にもきちんとした治療をうけたり安心して生活ができるよう、税金は有効に使われている。そういった助けがあって、みんなが幸せに暮らせていることを私達は忘れてはいないだろうか。
　先日、弟がコンビニエンスストアに買い物に行き、手ぶらで帰ってきた。レジでお金が足らなくなってしまったらしい。「あーぁ、税金がなければ足りたのに…。」と不満顔の弟を見て、数年前の自分を思い出して、苦笑してしまった。私もそう思ったことがたしかにあった。あの頃より少し成長した私は、今なら弟に教えてあげることができる。私たちが納める税金によって、私たち自身の生活が豊かになっていること、形をかえて私たちに戻ってきていること。「だから今は何だか少し損をした気持ちになるけれど、それは互いを助け合う大切な力になるんだよ」と。これからも私たちは税と深くかかわりながら生活していく。大人になればもっとたくさんの税をいろいろな場で納める義務がある。誰のために何のために納めるのか、どんなことに使われているのか、正しく理解して、それをきちんと伝えていけるようになりたいと思う。自分のため、周りの人のため、そして未来へ。税金はみんなが、心豊かに生活するために欠かせないものであることを忘れないでいたい。