何度も、何度も。そして今も。助けられて、生かされていたんだ。初めて知った。何も知らないで愚痴をこぼしていた自分が、恥ずかしいと思った。
　嫌だなあ。今まで百五円で買えていたのに。百均ショップに行くだびに、そう思う。消費税が八パーセントに引きあげになり、前よりたくさんお金を払わなければならないし、財布の中は小銭だらけで、パンパンに膨れている。私は税金について悪いイメージしか持っていなかった。
　ある日、私は花粉症の薬をもらうため、病院に行くことになった。待合室で順番を待つ。すると、ある光景を目にした。大人は、診察をしてもらい、会計をしていたのだ。私達子どもはお金を支払わなくても病院で診てもらえるのが、私の住む藤岡市だ。そのことに慣れすぎて、診察に料金が発生することを忘れていた。では、そのお金はどこから？恥ずかしいことに、私は知らなかったのだ。母に聞いて、初めて知った。全て税金のおかげだったのだ。私が面倒くさがりながら払っていたあのお金は、こんなところで私たちを助けてくれていたのだ。
　私は、税金について調べてみることにした。納税は、国民の義務。消費税の他に、所得税、法人税、住民税などなど。そして、使われ方。道路やトンネルの整備、ゴミの収集の費用、私たちの教育費、警察や消防、水道…。どれもこれも、私達の生活に欠かせない、身近なものばかり。特に何の不足もなく過ごせる当たり前の毎日は、税金の上で成りたっているものだったのだ。
　私の祖母は、何度かとても具合が悪くなってしまい、救急車を呼んだことがあった。一、一、九とボタンを押して、話をすれば、隊員の人が急いで駆けつけ、病院まで連れていってくれる。病人をかかえる家族にとって、本当に助かる、安心なものだ。この救急車だって、税金で動いている。救急車が今のように呼べなければ、税金がなければ、ベッドの上の祖母をいたわりながら過ごせた、あの温かな思い出は、なかったのかもしれない。自宅で安心して祖母と過ごせたかけがえのない時間は、なかったのかもしれない。
　税金。私は何も知らなかった。でも、こんなに身近にあるお金は他にないだろう。私の暮らしは、税金に助けられていたのだ。何度も、何度も。そして今も。いや、税金が暮らしを作ってくれていたと言ってもいいかもしれない。私の今日は、税金のおかげで、税金をしっかり納めてくれている社会人の方々のおかげで、成り立っているのだ。感謝の気持ちを忘れたくない。今の私にできること。教科書を大切に、しっかり勉強しよう。公共物を大切にしよう。そして、何年か後、しっかり働いて、税金を納めたい。明るい毎日が続いていくように。私の後輩たちにも、『税金って大切だなあ』と感じてもらえるように。