私はこの夏、陸上部を引退し、今は最後の駅伝大会にむけて駅伝部の練習に励んでいます。これまで学校のグラウンドや市営の競技場でたくさん練習し、大会にも数多く参加してきました。
　この二年半を思い返してみると、辛いことや苦しいこともありましたが、嬉しいことや楽しいこともあり、今となっては全てが良い思い出です。その中で、一つ心に引っ掛かることがあります。練習でも大会でも走り終わった後にグラウンドに礼をすることです。先輩をまねてするようになり、顧問の先生にも感謝の気持ちを大切にするように教えられていたので、今までは何の疑問も抱かずに礼をしていましたが、ふと、これは誰に対してしているものなのだろうと疑問に思いました。
　私なりに考えてみたところ、一つの答えにたどり着きました。それは、グラウンドなど、走れる場を提供してくれる人達への感謝を表したものだということです。トラックを整備してくれる労務技師さんや市の職員の方々、そして税金を納めてくれる国民の皆さんへの感謝です。私たちが走ってきたグラウンドや競技場は税金によって建てられ、整備されているのです。そう考えると、グラウンドはきれいに大切に使わなければならないと思います。もし、税金がなかったら、グラウンドがなかったかもしれないし、満足な練習ができなかったかもしれません。そして何より、大会が行われなかったかもしれないのです。そう思うと、税金のありがたさを強く感じることができました。
　陸上部としての大会を終えて、先生や家族、仲間にはとても感謝していました。しかし、私とは直接関わりのない方々が、私を支えてくれているということは考えてもいませんでした。今まで毎日走ることができたということは決して当たり前のことではなくて、私の見えないところで国民の方々が税金という形で支えてくれたおかげなのです。そのことに気付き、私の感謝は、会ったこともない、それでも私たちを税金で支えてくれている方々へと広がりました。そして、税金が人と人とをつなぎ、より良い生活を生み出していくのだと感じました。
　駅伝大会まであと数ヶ月。それまで毎日練習があります。毎日練習できることに感謝しながら走りたいです。そして、大会では、今までで一番の走りでたすきを運びたいです。今まで私の走りを支えてくれた全ての方々への思いを込めて…。