私は小さな頃から片頭痛があり、よく病院に行っている。診察を受けた後は、いつも飲んでいる予防薬を受け取る。もちろん「無料」だ。小学校中学年の頃、このことがとても不思議だった。「なんで、お金を払っていないのに薬がもらえるの？」母に聞くと「子供はみんな無料なんだよ。」と言っていた。私はこの時、「無料」であることがあたりまえなのだと思ってしまった。
　その少し後のことだ。私はテレビに流れる映像を見て、とても驚いた。そこには、発展途上国の子供達が病気にかかって、寝たきりになっている姿があった。なんで病院に連れて行かないのだろう。違う、この子達は行かないのではなく「行けない」のだ。病院に行くお金がなく、国の医療助成制度などもないのだろう。どれだけ自分の生活がめぐまれているのか。そして、それを「あたりまえ」だと思っていたことがとても恥ずかしかった。病院に行って治療をうけられること。これを「あたりまえ」だと思うことは、病院に行くことのできない子供達にとても失礼だと思ったからだ。
　「もし無料で治療をうけられなかったら私を病院に連れて行ける？」と母に聞いてみた。「一回で何千円もかかるのに、何回も連れて行ってあげられない。」これが母の答えだ。やはり、これが現実なのだ。もし日本から医療費助成制度がなくなったら。病気になった子供達が治療をうけることはほとんど不可能になってしまうだろう。そして、もっと少子化問題が深刻になってしまうに違いない。だから今、私達は税金があることに感謝しなければならないのだと思う。税金がなかったら、医療費助成制度もできず、病院に行けなくなった私は今、ここにいて元気に笑って暮らすことができなくなっているかもしれないからだ。
　まだ中学三年生の私が、税金があることに感謝を伝えるにはどうしたら良いだろうか。今、元気に暮らし、大人になった時に良い納税者になることが私の考えだ。「良い納税者」この国で国民が幸せに暮らすための手助けとなるように快く税金を納めることのできる人だと私は思う。私は今、多くの人の税金に支えられて生きている。「無料」であること。これは「あたりまえ」ではなく「すばらしい」ことなのだ。だから私は大人になっていろいろな税金を納める立場になった時、このことを伝えていける人になりたい。「あたりまえのすばらしさ」を感じて生きること。これがどんなことよりも大切であると私は思うからだ。