わずかな小銭を探して、財布の中をのぞきこむ。母が食材を買う時も、父が内緒でアイスクリームを買ってくれる時も、もちろん私が友達と遊びに行った時も、誰もが、必ずと言っていいほど見かける光景です。私はその行動、つまり「消費税」に対して、「もどかしい、めんどうくさい」というような気持ちを抱いていました。しかし、そのけっして良いとは言えないきっかけで、私は税と向き合うことができたのです。
　そもそも、「消費税」とは、どんな用途に使われているのかを調べることにしました。一般的なものとして挙げられるのは、年金、医療、介護、そして子育て支援の四つです。このことを知った時、私は思わず
「えっ、関係ないじゃん。」
と口にしてしまいました。だって私は健康な中学生なのですから、医療も大きなお金が必要なこともないですし、子育てとも関係のない年代です。それに、年金や介護での補助なんてもっての他。私の今には到底関わりのないことだと感じたのです。しかし、ふと投げかけられた妹の言葉に私はかけがえのない、「消費税」の意味を見つけました。
「でも、反対に知らない誰かの助けができたのだとしたら、お姉ちゃんはヒーローだね。」自分の利益のためでなく、知らない誰かの助けをするため。ありふれた当たり前の行動にそんな意味を見つけられた時、私は自分の日常に対して、特別な思いを持つようになりました。
　わずかな小銭を探して、財布の中をのぞきこむ。誰かを笑顔にするために。いつもと同じでも、はっきりと意味を理解しての行動は自分をワンランク上に成長させてくれた気がしました。「消費税」という誰もが何気なく支払っているお金。もし、このまま多くの人が自分達の行動の意味を知らずにいたとしても、何かが大きく変わってしまうことはないでしょう。しかし、反対に多くの人がその意味を知ることができたのならば、より気持ちの良い日常を送ることができるのではないでしょうか。
　夏休みのとある一日、妹のなんでもない一言で、私は「消費税」に対する考えを改めることができました。これから、自分がどのような道を歩んでいくのかはまだ分かりません。でも、大人になるにつれ、私はきっと「消費税」だけでなく、より多くの税金と関わることでしょう。私はこの一日をその時も、ヒーローでいられるために使いました。税を納めることとは、日本全体で手をつなぐことです。税に対して見い出した意味を忘れることのないよう、この作文をずっと胸に留めておきたいです。