私は４歳に手術をした。担当してくれた医者の先生は私にも手術について説明してくれたようだが、当時の私には到底手術の内容は理解できなかった。そして中学３年生になった今、１４年生きてきたなかで初めて母に手術のことを聞いた。母は真っ直ぐ私を見て、あと少し悪化したら命に関わる病気だったと告げた。そして、手術はこの世の中の沢山の人のおかげでできたということも教えてくれた。私は更に詳しく知りたいと思い、自分で調べて見た。そこには、「子ども医療費助成」と「医療保険の一部自己負担額を県と市町村で助成する制度」と記載されていた。私はこの文章を読んだ時、感謝してもしきれない何ともいえない気持ちが込み上げてきた。
　きっとこの「税金」というものがなければ私はこの先笑うことも泣くこともできなかったはずだ。今普通の生活をして、小学校を卒業し、中学生として過ごしているこの現状は当たり前だと思ってはいけないのだ。いや、普通は当たり前ではないのだ。
　今現在、コロナウイルス感染症の影響で今までにはない生活を余儀なくされている。普通は当たり前ではない。これがよく実感できた。そして、コロナの重症化を防ぐワクチンが開発され、近頃では国民の約５割が一回目の接種を終えているという。このコロナワクチンは税金によって補われている。つまり、税金で数えきれないほどの命が救われているのだ。
　税金ときいて私たちのような学生にはあまり身近だと感じることができない。だが、日々の生活を思い返すと普段の買い物で買った小さな一つのアメにも消費税という税金がついている。自分たちで気づかないうちに私たちは納税者になっているのだ。
　私は商品の価格だけ払えばいいじゃないかと思ったことがある。だが、この中学最後の夏にこうして税金について考えてみると日本国民として生活していたけれど今まで見えてこなかったこと、税金がこの世の中をどう動かしているか、気づくことができた。そしてなにより、税金を納めるということに対しての考え方ががらりと変わった。
　今までの私のようになぜ税金を払わなくてはいけないのと思う人もいると思う。また、考えが変わった私のように感謝しなくては、そう思っている人もいるだろう。だが、税金というものは間違いなく大切な大切な命を沢山救い、そして沢山の人々を笑顔にしてきた。この世の中にはなくてはならない存在なのである。
　これからも私たちは今までのように税金を納めていかなくてはいけない。だからこそ国民の一人一人が税について今以上に関心をもち、考えを改めていくべきだと私は思う。
　私は税金とはなにか、と聞かれたら「日本を救う無敵の薬」と答えるだろう。