私の祖母は１年ほど前に白内障を患った。白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下してしまう病気だ。何も治療せずに放置しておくと失明のリスクが高まると言われている。そんな病気に祖母がなってしまったことを知り、私はとても驚き不安になった。「大丈夫かな。治るのかな。」と私は一人で悩み続けた。
　そんなある日、私は祖母に「芽唯ちゃん、おばあちゃんね、目の手術する事になったんだよ。」と言われた。「手術」という言葉を聞いて私はまずお金のことを心配した。祖母は祖父と２人で暮らしていて、年金をもらいながら生活している。貯金はあると言っていたが、本当に大丈夫なのか。この思いを消化し切ることができずに祖母の手術の日はやってきた。手術後、祖母は元気そうな様子で病院から出てきた。「芽唯ちゃんのことははっきり見えるよ。おばあちゃん、うれしい。」と祖母は言っていて、私は安心した。そこで私は手術にどれくらいの費用がかかったのかと聞いた。その額はおよそ3万円だった。3万円と言う金額を聞いて思っていたよりも安いなと感じた。なぜなら私の中では手術というものは何十万、何百万もかかるものだと思っていたからだ。もちろん3万円は中学生の私からしたら大金に値する。しかし、それで両目の視力が戻ったことを不思議に感じた。そこで私は祖母が受けた手術のことなどを調べてみることにした。そこで私が知ったのは、後期高齢者医療制度だ。この制度は75歳以上の人が入る医療保険だ。このおかげで祖母の手術費は3万円で済んだのだ。
　では、この制度は何によって支えられているのだろうか。それは税金だ。私たちが払ってきた税のおかげで助かる人がいるのだと改めて実感することができた。
　今まで私は買い物をする時などに「税金なんて、なければいいのに。」と思っていた。しかし、今は違う。もし税金がなかったら祖母は高額な手術費を払っていただろうし、私も今、学校に通えていないはずだ。今の快適な生活さえも税金がなければなくなってしまうものだ。税金はマイナスな物なんかではない。人と人とが手を取り合い助けるための物なのだ。だから私も将来、誰かのためを思って気持ち良く税金を納めるような人になりたい。そして子どもたちにもこの考えを知ってもらえるようにしたい。
　祖母は今では一人でよく散歩に行くようになった。色んなところで見える景色が美しいなどと言っていた。祖母を変えてくれ、支えてくれたのは税金のおかげだ。