私は小さいころ、家族の都合でアメリカに住んでいたことがあります。その経験を通して、日本とアメリカの生活のちがいを強く感じました。特に、病院や学校、道路など、日常生活に関わる部分で「税金の使われ方」が大きく影響していることに気づきました。
　アメリカで生活して一番大変だったのは、医療費の高さです。日本では病院に行くと、保険証を出せば治療費の多くを公的医療保険が負担してくれます。しかし、アメリカでは保険に入っていなければ全額を自分で払わなければなりません。たとえば風邪で病院に行くだけでも数万円かかることがあり、家族は「できるだけ病院に行かないようにしよう」と話していました。病気やけがをした時に安心して受診できる日本の医療制度は、税金によって支えられているのだと改めて実感しました。
　また、学校生活にも違いがありました。アメリカの学校には日本のような給食がなく、お弁当を持って行くか、学校でパンやスナックを買う必要がありました。日本の学校給食は、栄養士が栄養バランスを考えて献立を作り、温かいご飯をみんなで食べられます。給食があることで保護者の負担も減り、子どもたちは健康的に成長できます。これも税金が使われているからこそ実現している制度だと感じます。
　さらに、道路や公園の整備についても大きな違いがありました。アメリカの一部地域では道路に穴が空いていても長い間修理されず、歩きにくく危険に感じることがありました。日本では、道路は比較的きれいに舗装され、公園や公共施設も完全に利用できるよう整備されています。こうした快適で安心できる環境は、税金を使って維持、改善されているのです。
　このように、日本の暮らしやすさの裏には「税金の活用」があります。税金は国民から集められたお金ですが、ただ取られるものではなく、医療や教育、福祉、道路整備など、私たちの生活を支えるために使われています。もし税金がなければ、病気の時に安心して病院に行けず、学校給食もなく、道路や公共施設も安全に保てないかもしれません。
　アメリカでの生活を思い出すと、日本の制度は「当たり前」ではなく、多くの人が納める税金によって成り立っている貴重な仕組みだとわかります。税金は国や地域がよりよい社会を作るための「みんなのお金」であり、私たち一人ひとりの生活に直結しています。
　これから私自身も大人になり、税金を納める立場になります。その時に「取られてしまうお金」ではなく、「社会を支える大切な仕組み」として前向きに考えたいと思います。そして、将来は税金の使い道についても関心を持ち、暮らしやすい社会を守る一員としての自覚を持ちたいです。