私は今まで「税」というものに対して関心を持つ事ができませんでした。それは自分の生活と結びついている実感がなく、それらがどう遣われているものなのか知ろうとしていなかったからです。
　私の住む町では中学生が海外へ行き、異文化に触れる事や、英語力の向上を目的として行われている中学生海外派遣事業というものがあります。私はこの事業に参加しオーストラリアに行きました。ホームステイ先には６歳の男の子がいました。ある日、みんなでスーパーに行く機会があり、入店するなりその男の子が突然売り場にあった果物を手に取って食べ始めたのです。ホストマザーが「Free Fruit for Kids」と書かれた看板を指差しながら、これが書かれている籠の中は自由に食べていいのだと教えてくれました。私の中にひとつの疑問が浮かびました。「お金は誰が払うの？」と。この疑問が私の「税」への興味の始まりでした。
　この看板の正体は、オーストラリア政府が推奨する「２&５（1日に2つの果物と5つの野菜を食べよう）」という取り組みであることが分かりました。お菓子やジャンクフードの代わりに果物と野菜を食べて、健康的な食生活を推進し国全体を健康にしていく事を目的としており、そこには税金が遣われている事を知ったのです。その他にも16歳未満は週末や祝日の公共交通機関の利用が無料になるといった州があり、それらの全てに税金が遣われていたのです。日本に帰国して私は、自分が住んでいる町ではどのような事に税金が遣われているのか調べてみることに しました。すると、保育料や給食費が無料であったり、18歳までの医療費も無料であることが分かりました。そして、今回の海外派遣事業も、その多くが公費で賄われていて、個人の負担は通常海外へ行くよりもずっと少ないものだったのです。
　私は今まで「税」と自分の生活が無縁だと思っていたことが、とても恥ずかしくなりました。私が知ろう、理解しようとしていなかっただけで、私たちはたくさんの税の恩恵を受けて生活しているという事や、税と私たちの生活は実は密接に関係していて、必要不可欠なものだという事を知りました。納税は国民の義務の一つです。その義務を果たすのはもちろん、その遣い方についても積極的に知る責任があると私は思います。遣い方を知り、それにより私たち国民の生活が豊かになるように見守る事や、私たちの明るい未来のために正しく税金が遣われているか、自分自身の目で見届ける義務があると思うのです。
　来年、私は高校生になります。将来の納税者として、 全ての人の幸せな未来のために「税」に対して理解を深め、日々感謝しながら行動できる大人になりたいです。