「たとえ話をしよう。君たちは今、周りを海に囲まれた島に住んでいる。通学や通勤は舟を使って別の島に行かなければならない。そんな中、ある少年が言った。みんなでお金を出し合って、島と島をつなぐ橋をつくろう。橋ができてもお金を出し続けて橋の明かりをつけたり、橋を広くしたり、壊れたときには修理をしたりしよう。僕ひとりではできないけれど、みんなで協力すればできるさ、と。税金というのは、こういうことなのです。」
　この話は税金という仕組みのほんの一部を表したものにすぎなかったが、私はその仕組みに興味を持つと同時に、ある出来事を思い出した。
　私は３年前、複合施設のワークショップというものに参加した。これは私の住む藤岡市に新しく建設される、図書館をはじめとする保健センター、多目的ホールなどが合わさった複合施設をどのように使っていきたいかということを話し合うものだ。当時小学生だった私は父に勧められて参加することを決めた。実際に話し合いに参加してみると、小学生から大人まで様々な世代の人が集まり、それぞれ違った視点からの意見が飛び交った。当時は深く考えることなく参加したものだったが、今思えばこれはある意味「税金の使い方を市民が考える」というとても貴重な機会だったのかもしれない。
　そんな複合施設が今年10月、「ふじまる」という名前で開会することを知った。純粋に新しい施設ができることを嬉しく思ったが、それ以上に３年前の私が提案した意見が反映されていることを嬉しく思った。今まで私は税金に対して「決められているから、しかたなく納めるもの」といったマイナスなイメージをもっていた。しかしこれをきっかけに、「私たちの生活をより良くするために納めるもの」なのだと思うようになったのだ。 将来の納税者となる私たち。税金に対してどのような考えをもち、税金を納めるのだろうか。「決められたことだからしかたない」と思って納めるのか。それとも「自分の生活をより良くするために」と思って納めるのか。税金を納めるという行動は、私たちの考え方ひとつで意味が大きく変わってくる。だからこそまだ中学生だからといって何もしないのではなく、自分から積極的に関わることが大切だと思う。税について調べてみたり、イベントに参加してみたりするなど、税と向き合う手段は「納める」という行動だけではない。中学生である私たちにもできることはあるのだ。
　この先、私も税金を納めることになるだろう。そのときは、３年前の私を思い出したい。そして「私たちの生活をより良くするため」の税金を納めたい。