もし税金が減った場合、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか。今年行われた参議院選挙の報道を見て、そんな疑問を抱きました。「消費税の廃止・減税」について活発に議論されていたからです。消費税が無くなることは一見嬉しく思えますが、その分使う税金が少なくなることでもあります。まず、今税金が何に使われていて、それが私たちに必要か考えなければいけません。
　正直、少し前まで私にとって税金は遠い存在でした。更にどちらかといえばマイナスなイメージを持っていました。普段の買い物でお菓子やジュースを買う時、ちょっとした金額でも消費税を支払わなければならず、少し損をした気分になっていたからです。もちろん税金については授業で習い、様々な種類があることや私たちの暮らしを豊かにするために使われていることは知っていました。しかし具体的なことを聞かれると、自信を持って答えることができませんでした。「よく知らない」ということが、税金を遠い存在にしていました。
　変化のきっかけは昨年病気で入院をした経験です。1ヶ月ほど入院が続き退院後も定期的な薬の服用が必要となりました。生涯でかかる薬代は数百万円以上になると聞き驚きました。入院自体も辛い経験でしたが、そこに巨額の医療費がかかることに、更に辛い気持ちになりました。しかしこの医療費の大部分は健康保険や税金によってまかなわれたと後から知りました。もし税金がなければ、これほど高額な医療費を全て自己負担しなければならず、誰もが安心した医療を受けることは難しかったかもしれません。私たちは税金という公的サービスに命を守られているのだと実感し、感謝の気持ちが大きくなりました。また、医療費や薬代だけでなく、様々な病気を根本から治す為の研究にも税金は使われています。私たちの生活は、目に見えなくても税金という大きな恩恵によって支えられているのだと改めて感じました。 この経験を通じて税金に対する考えが変わり、身近な多くのものにも視野が広がりました。学校の校舎やグラウンドの整備、道路の補修、警察や消防、誰もが平等に利用できる図書館や公園も、私たちの当たり前や必要に感じているものは税金によって支えられているのです。
　私は今15歳となり、あと3年で選挙権が与えられ国の未来を決める一人になります。私のように病気で辛い思いをする人、税金を必要としている人はたくさんいます。これからの私もその一人です。直接的な助けになれなくても、税金に関心をもち、より良い未来のために適切な使い道を考え続ける大人になりたいと思います。それが税金を通じた社会貢献だと信じて。