私はお小遣いを握りしめて本屋へ出かけました。1200円と書かれていたのですが、レジには1320円と表示されました。定価という文字の下に小さく書かれた税込と書かれた数字こそがこの本の値段の正体だったのです。私はなんだか騙されたような感覚になりました。
　これは私が6歳の頃に感じたほんの小さな2つの疑問です。なぜ値段が高くなるのか、それは消費税という税金を納めたからです。多く払った130円は何にどのように使われているのか、その謎は中学3年生の授業にて明らかになりました。
　ODAという組織があることを知りました。それは税金からなる発展途上国で資金援助、技術支援をする組織でした。この活動は単なる一方的な支援ではなく、国境を越えた信頼関係を築き、めぐりめぐって私たち自身の未来を豊かにする「恩」なのです。例えばスリランカでは日本のODAで交通の難所であった山間部にランボダ・トンネルが建設されました。このトンネルは物流を円滑にし、経済や観光を活性化させるなど、国の発展に大きく貢献しました。その感謝を友好の証としてチルビー紙幣にも描かれました。そして東日本大震災の際にはスリランカから義援金や特産の紅茶が送られ、日本に住む人々も炊き出しを行うなど、心のこもった支援が届けられました。バングラデシュでも同様に日本の支援によって建設されたジャムナ多目的橋はかつて川によって分断されていた国土を結ぶ大動脈として経済発展を支え、百タカ紙幣と五タカ硬貨にその姿が刻まれました。この橋が国土だけでなく人の心も繋ぎました。東日本大震災の際には、バングラデシュの政府から二百万米ドルもの義援金と支援物資でかつての支援に報いてくれました。
　このように、ODAを通じて投じられた税金はインフラ整備に留まらず、国と国の間に「ありがとう」が循環するあたたかい関係を育んでいます。税金を納めるという一人一人の行動が、世界と手を取り、 困難な時には助け合える未来を築くための尊い一歩なのだと思います。私一人の力ではトンネルや橋を作る技術もなければお金もありません。ですが、私が税金として納めた数十円、数百円が世界を必ずより良くすると感じました。そして、私は「税金」という形で、世界を変える数億人のうちの一人として協力したいと思います。いつか必ず「恩」として自分のためにめぐりめぐって帰ってくると私は信じています。